まず質問です。
赤色と聞いて、あなたは一番に何を思い浮かべますか?
「消防車」「りんご」「郵便ポスト」・・・
いろいろと無限に発想できるかと思います。
でもデザイナー脳の発想方法は違います。
まず「赤」といわれて頭に浮かべるのは「アカ」。
あの真っ赤な色そのものが脳の中いっぱいに浮かぶ感覚です。
発想とはいえないかもしれませんが、モノを歪めて受け取らない、混じりっけなしの思考。視覚と脳が直結するイメージです。
そのシンプルな感受性の発想構造に価値があるのです。
では、デザインという言葉を辞書で調べると
(1)服飾・建築・工業製品・商業美術などの分野で、機能や美的効果を考慮して作品・製品などの形態を立案すること。意匠。
(2)図案・模様などを考案すること。また、そのもの。
とでてきます。
これはとても抽象的で、深堀するととても広い定義の言葉であることがわかります。
そんなこともあって、最近はデザインという言葉が、いろいろな場所で使われるようになってきました。
多くは「設計」や「問題解決」という意味で、とてもロジカル思考な発想法として注目されています。
(厳密にいうとアートディレクターの思考に近い気もしています)
では、現場のデザイナー(私はグラフィックの経験しかないため、グラフィックデザイナーとします)が、誰しもこのロジカルなデザイン思考に強いのか?と問われると、必ずしもそうではないと思います。
たしかに、ロジカルデザインは、デザイン構築する際に頭を整理し、表現する方法であると同時に、プレゼンなどクライアントを説得する際に役立ちます。
しかし、そもそもデザインが好きでデザイナーになる人は、右脳派(感覚派)が多く、表現したものを説明することが苦手です。むしろ、表現したものを説明するのを毛嫌いします。なぜならそれは、りんごの絵を描いて、そのキャンバスに「りんご」と説明のキャプションを書くようなものだからです。
「表現が伝わらないから、言語化した説明をする = そもそもビジュアルが伝わらないダメな制作物」そんな考えさえ持っているのです。
とはいえ、表現にいたるまでの原稿の整理、またレイアウトにおける平面構成など、そこには左脳による計算されつくしたロジカル思考が使われています。
そういった意味で、デザイナーは、左脳50%右脳50%のハイブリッド思考の持ち主といえるでしょう。
ただここで、デザイナーが違うのは、左脳0%右脳100%の状態も意図して作れるということなんだと思います。
それがないと、デザイナー本来のパーソナリティーな表現はできず、画一化されただれでも理屈でできてしまう表現が量産されてしまうと思います。
デザインがすべてを解決する!など、左脳によるデザインの話が増えてきているような気がしますが、誰でもできるロジックで考えるデザインだけでは、とても夢がないなぁと個人的に感じています。
デザインはもっと自身の感性に頼っていいし、楽しくあって欲しい。
ロジカルなデザインも必要ですが、心のどこかにそんな思いも忘れずに仕事を楽しみたいと思っています。